前にも書きましたが、娘がちょうど2歳になったあたりで、私たち家族は今の家に越してきました。
その後、通い始めた図書館は、おもに4館(プラス、たまに利用が2館)。
週に二三度、いま思うと、ちょっとどうかしてるくらいの頻度で、せっせと通っていました。
とはいっても、借りるのはほぼ絵本だけ(ほかの本を借りても、読む時間も気力もなかった…)。
おかげで絵本まみれの日々でした。
この時期よく読んでいた絵本リスト
頻繁な図書館通いのおかげで、この時期から読む冊数がどどーんと増えました。そのためリストもすこし長めです。
※どの絵本もこの時期よく読んだものですが、この後も、何度もくり返し読んでいます(なかには5歳になった今でも大好きなものも)。なので月齢はあくまで参考程度に。
『ぞうくんのおみまい』
おぼ まこと・作 福音館書店
病気になったおばあさんのお見舞いにリンゴを持って家を出た「ぞうくん」。友だちと町へ行くバスに乗ろうとしたけれど、あらら、やってきたバスはなんと満員! 襲い掛かる災難(と空腹)に耐えながらがんばる「ぞうくん」の姿に子どもたちもドキドキそわそわ。冒険気分を満喫できます。うさぎの女の子のワンピース(ひざ上)がサイケな水玉模様だったたり、おばあさんのお布団が総☆模様だったり、はじける70年代パワー(初版は1975年)もたまりません。
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『コッコさんおはよう』(コッコさんシリーズ)
片山健・作 福音館書店
コッコさんが眠っているうちに、「そおっと」やってきて「ゆっくり ゆっくり」、しかし着実に、空を、犬を、林の鳥を静かに起こしていく「朝」。淡い水彩のにじみから生まれる豊かでしあわせな「子ども時代」が画面じゅうできらきらと微笑んでいるような、なんともいえない幸福感に充たされる一冊です。他のコッコさんシリーズは正方形に近い「こどものとも年少版」ですが、これは縦長の「こどものとも年中版」。シリーズのなかで(いまのところ)唯一ハードカバーになっていない本でもあります。
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『ふわふわくんとアルフレッド』(岩波の子どもの本)
ドロシー・マリノ・作 石井桃子・訳 岩波書店
表紙の男の子の名前は「アルフレッド」。その後ろでソファーに座っているクマのぬいぐるみが「ふわふわくん」。ふたりは何をするにも一緒の仲良し(つまりラブラブ)。ところがある日、アルフレッドのもとに新しいトラのおもちゃ「しまくん」がやってきて…。目新しいコ(しまくん)の登場で、古女房(ふわふわくん)との関係がガラリと変わるという、古くて新しい永遠の三角関係が、すばらしくキュートな絵で気持ちいいくらいさっくりと描かれています。男子は「モノ」に、女子は「関係」に惹かれる傾向があるといいますが、うちの娘も「関係」を描いたこの絵本がびっくりするくらい好きで、何かに憑かれたように何度も読んで欲しがりました…。
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『どこでおひるねしようかな』
岸田衿子・文 山脇百合子・絵 福音館書店
お弁当を食べてお腹いっぱいになった動物たちが、それぞれすてきな「おひるね場所」を探し、うとうととしあわせな眠りに入るまでを描いた一冊。「ほんの すこし あかるくて すこし くらくて しずかでね きもちのいい かぜ ふくところ」。岸田衿子さんのゆっっったりとした文章と、山脇百合子さんのやさしい絵が、「おひるね」の時間を明るく包みこみます。この時期は、おひるねの前はいつもこの本を読むのが日課でした。
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『クリスマスのふしぎなはこ』
長谷川摂子・文 斉藤俊行・絵 福音館書店
クリスマスの朝、「ぼく」が縁側の下で見つけたちいさな木箱。そっとあけてみると「あっ、サンタさんがいる」。プレゼントが楽しみ過ぎる「ぼく」と、「ぼく」の町に少しずつ近づいてくるサンタさん。時間の経過とともに高まる期待が、見開きごとに描かれる「ぼく」とサンタさんのおかげで、さらに盛り上がるものになっています。タンスや障子のある家、クリスマスケーキを食べながら日本酒で晩酌するお父さんなど、マットな色合いで描かれた、へんに外国っぽくない「日本の正しいクリスマス」も、この絵本が持つ独特の味わいに一役買っています。
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『トンガのきいちごつみ』
広野多珂子・作 ひさかたチャイルド
タンポポを摘んだり、赤い実を採ったり。散歩に出ても驚くほど進まない、この時期の子どもたち。低い目線のおかげで、いろいろなものが大人より大きく、そして興味深く見えてしまうのでしょう。ヘビに出会ったり、キツネに襲われたり。ちいさな体でひとり(一匹?)、キイチゴを摘みに出かける子ネズミ・トンガの冒険は、そんな子どもたちにぴったり。トンガのミニ・サイズにあわせて、大きくかつリアルに描かれた春の草花にもうっとりします。
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『やまのディスコ』
スズキコージ・作 架空社
オープンしたばかりの「やまのディスコ」に出かけた、「しろうまのみねこさん」(表紙向かって左)と「やぎのさんきちくん」(同、右)。こっくりとした色合いで描かれた、たくさんの動物たちが繰り広げるお話は、すばらしく面白いどこか不思議な夢のようで、これぞスズキコージ・ワールド。「くりのみ じゅっこ」とか「どぎまぎしていると」とか、思わずクスリと笑ってしまう言葉もすてき。
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『かえりみち』
あまんきみこ・作 西巻茅子・絵 童心社
あまんきみこさんの文章は、いつだってちょっぴり古風でやさしくって上品で、すてきに女の子っぽい「女学生」のよう。この絵本は、そのあまんさんのお話に、これまた女の子らしい西巻茅子さんの絵がそえられた、とても可愛らしい迷子さんの物語。かえりみちを探して泣くちいさい子さんたちの「あーん」という声や、「にこっ」と笑う「こぎつね」に、「くくっ」と笑う「こうさぎ」。読んでいてつい「にっこり」してしまうあまんきみこ節が楽しめます。わたしはこの本のお母さんが着ている水色のワンピースが憧れ。いつかこんな服が似合う女の人になりたいものです。
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(わたしの持っている本(2013年重刷)より、図書館で借りた初版(1979年)のほうが印刷の色がきれいなので、西巻さんのモダンな色遣いをより味わいたい方は、初版を一度見てみるのもいいかもしれません)
『かみのけちょっきん』
松竹いね子・作 織茂恭子・絵 福音館書店
「じょき じょき しゃき しゃき ちょき ちょき ちょっきん」。この本の「みきちゃん」と同じく子どもの髪は「おかあさん美容室」で、というご家庭、多いのではないでしょうか(うちもそうです)。長く伸びた髪がさっぱりしていく様子が面白いのか、それとも散髪を嫌がる「みきちゃん」に感じるところがあったのか、この本もこの時期なぜかよく読んで欲しがりました。輪郭のはっきりした切り紙のような絵と、リズミカルなハサミの音が見事なハーモニーを奏でる、目と耳に残る絵本でもあります。
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『ほら、きのこが……』(たくさんのふしぎ傑作集)
越智典子・文 伊沢正名・写真 福音館書店
白い網をかぶったキノコ、闇夜に光るキノコ、ハート型のキノコ、キノコ、キノコ…いろーんなキノコがたっぷりごっそり楽しめる写真絵本。けむりのような胞子を「プフォウ…」と吹き出す「ツチグリ」や、一晩で溶ける「ヒトヨタケ」なんて不思議なキノコの写真も。我が家では一通り読んだ後、裏表紙に並んだキノコの写真を眺めながら、本文のどこにそのキノコがいるのか探す「キノコ探し」をして楽しんでいました。しかし普通の家の柱(たぶん)からにょきっと生えた立派な「マツオウジ」にはびっくり! 衝撃の一枚です…。
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『ぐりとぐらとすみれちゃん』
なかがわりえこ・作 やまわきゆりこ・絵 福音館書店
とってもかわいらしい女の子「すみれちゃん」が登場する、ぐりとぐらシリーズの記念すべき第6作目!(パチパチ)このすみれちゃん、なんと大きなかぼちゃを入れたリュックをしょって、ぐりとぐらのところへやってきます。すみれちゃんの可憐なワンピース、ぐりとぐらの家の壁にさりげなく飾られたリースなど、改めて読むぐりとぐらは普通におしゃれでかわいくて、簡単な内容なのに中身ぎっしりで面白くて、ああ、ほんとうにさすがの名作。「あまい ぽくぽくの かぼちゃ」が大好きな娘は、かぼちゃのごちそうが並ぶシーンにもくぎづけでした。
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『わらって わにさん』
水野翠・作 福音館書店
いつも元気な「わにさん」が泣いている! それを見た「にわとり」は、「わにさん」を元気づけようと、「りす」「すかんく」「くま」「まんとひひ」(並べるとしりとりに!)を誘って、「わにさん」をなぐさめに出かけます。「わらって わにさん / わらって わにさん / わにさん わらってよー」…♪「にわとり」が「わにさん」のために作ったこの歌を、娘はしょげているわたしによく歌ってくれました(「わにさん」を「かあさん」に変えて)。笑ったり、泣いたり、なぐさめたり。お友だちとのやりとりがなんとなく分かってきたこの時期の子どもたちにおすすめの一冊でもあります。
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『ちょっとかして』
きのしたあつこ・作 偕成社
おもちゃの飛行機でも、ヨットでも、むしとりあみでも、なんでも弟より「いいもの」を持っているお兄ちゃん。「ねえ、ちょっとかして」と弟が云っても、お兄ちゃんはいつも「だめ、ちびはそれでいいんだよ」。そんな弟の前にちいさなカエルが現れて……。 まだまだおもちゃの取り合いが多いこの年頃の子どもたちにとって「かして」は魔法の言葉。その言葉をめぐる、だれもが持っている葛藤(と欲望)が、色数の少ないちょっぴり外国っぽい絵で淡々と、でもどこかコミカルに描かれています。ミニサイズの判型もまたコンパクトで好ましい。
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