おはなしの入口  娘と読んだ絵本のはなし4 (1歳半~2歳ごろ)

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『はじめてのおつかい』
筒井頼子・作 林明子・絵 福音館書店
赤ちゃんのお世話で忙しいママに頼まれて、近所の商店へ牛乳を買いに行くことになった5歳の「みいちゃん」。「ママのために」という重要(かつ小さな女の子が大好き)なミッションを胸に、さまざまな困難をクリアし、少し「おねえさん」になった自分になって帰ってくる。女の子の冒険小説としても読める内容が、林さんの温かく優しい、そして細かいところまで見事にこだわったかわいらしい絵で、さらに心躍るものになっています。お店の名前が作者の名をもじった「筒井商店」だったり、散りばめられたたくさんの遊び心にもノックアウト。
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『ぼくはあるいたまっすぐまっすぐ』
マーガレット・ワイズ・ブラウン・作 坪井郁実・文 林明子・絵 ペンギン社
おばあちゃんに教えられた通り「まっすぐまっすぐ」、道でないところもただ「まっすぐ」歩いていく男の子。男の子と一緒に新しい「道」を作っていくような感覚が、なんともいえないのでしょうか。5歳になったいまでも、娘は男の子が歩く見えない道を、指でなぞっては楽しんでいます。花とかイチゴとか出てくるものがいちいちかわいらしいのもうれしい。
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『おいしいよ』
神沢利子・作 真島節子・絵 こぐま社
トマト、にんじん、おさかな、ぶどう、りんごにケーキにソフトクリーム! 「ぼくの すきなものは これと これ きみの すきなものは なあに」。動物たちがそれぞれ大好きな食べ物をおいしそーに食べるシーンに、「ごはん」を食べ始めた子どもたちもきっと興味津々。茶色×ピンク(アリのページ)、黒×緑(ネコのページ)といった、70年代っぽいパキッとおしゃれな色の組み合わせもすてき(初版は1973年)。わたしが持っているのは福音館書店から出ていたペーパーバック版ですが(写真上)、現在は同じ内容のものがこぐま社からハードカバーで出ています。
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『どうぶつたちのおかいもの』
渡辺茂男・作 太田大八・絵 福音館書店
昭和の香りただよう商店街に、動物園の動物たちがなにやらお買い物にきた様子。紙屋で千代紙を買うヤギに、お煎餅屋さんでせんべいをみつくろうロバ…でもいったい何のための買い物? 家族で商店街へ行くことがハレの日の行事だったあの時代の、店によってガラリと変わる匂いまでもが感じられるような、太田さんのモダンで厚みのある絵がすばらしい。親も子も(もしかしたら、おじいちゃんおばあちゃんも)楽しめそうな、一冊で何度もおいしい絵本です。2014年にめでたく復刊したようで、現在はハードカバー版が入手可(写真はソフトカバー版)。
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『おはようミケット』
パトリス・アイスプ・作 やまぐちともこ・訳 福音館書店
広い子ども部屋に散らばる、たくさんの人形とおもちゃ。細いガラス窓の向こうには、いかにも外国風な屋根並みが広がり、朝食はココアにミルクにパンにジャム! パリに住む女の子とぬいぐるみの黒猫「ミケット」の一日を描いたこの絵本は、頭からしっぽまで限りなく華やかで明るくときに大胆な「外国」で、その強烈な異国感に、昭和の女の子だったわたしは衝撃を受けました。娘もこまごまとしたキュートな小物や、派手な色遣いが印象的なようで、この絵本はなぜかずっとお気に入りです。1979年初版の本で、現在、版元にはバックナンバーがなく、古本のみで入手可のよう。
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『いちご』
平山和子・作 福音館書店
まだスプーンやフォークが上手に使えないちいさな子は、手づかみで食べられるものが大好き。可愛くておいしい「いちご」は、なかでもその筆頭。あたたかい春が来て、緑色のいちごの実がなり、少しずつ赤くなり「さあ どうぞ」「あまいですよ。さあ どうぞ」とあちこちからうれしい声がかかるページ。娘も絵本のイチゴを大急ぎでエア採りし、両手でぱくぱくとエア食べし、最後は「おかーあさんもー」とたくさん採ってくれました(エアで)。リアルで温かみのある平山さんのイチゴは、ほんとうにおいしそう! 見ているだけでしあわせな気分になります。

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